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西野つかさを応援するスレ Part92

1 名前:(=゚ω゚)ノ 投稿日:04/05/10 01:03 ID:eRQoD5NE
いちご100%の西野つかさを応援するスレです。
つかさファンが集う場所です。
東城・北大路ファンは控えめに。
東城・北大路叩きも控えめに。
他派を刺激する内容はスレ内完結で。
このスレでのいちご100%のヒロインは、どんなことがあろうと西野つかさです。
煽り・荒らし・その他、マターリマターリを壊す輩は「完全放置」で。
雑談はOK。なりきりは禁止。

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西野つかさを応援するスレ Part91
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62 名前:◆3Kn3xqDy2w 投稿日:04/05/10 17:54 ID:Lq2t6cut
「 星空の下で 」


「お待たせ! 淳平くん」
いつものようにバイトが終わり、俺は西野と一緒に帰り道を歩く。
毎日遅くまでバイトをしている西野を俺はずっと待っていた。
空には満天の星空。無数の星達が光り輝く。
「淳平くん。知ってる?」
いつもの公園を通りかかったときに西野が話し掛けてきた。
「何が?」
「来週の土曜日、流星群が日本で見れるんだって」
「流星群?」
「そう。雨のように星達が降り注ぐことだよ」
「へ〜。そうなんだ」
「ねえ淳平くん? よかったら来週一緒に見に行かない?」
空を見上げて西野はつぶやく。
「わかった。来週の土曜日な。じゃあ、バイト終わったら一緒に行こうか?」
「約束だよ!」
「そういえばどこで見れんの?星」
「この街の裏にある丘からが一番見えるんじゃないかなあ」
そう言って西野は俺の手を握った。
「楽しみにしてるね!」
その笑顔が曇らないように、いつまでもこのままでいたいと思った。


63 名前:◆3Kn3xqDy2w 投稿日:04/05/10 17:55 ID:Lq2t6cut
「はあ。またこんな点か……。俺大学いけるのかな……」
月曜日。俺は塾で模試の結果に落ち込んでいた。
勉強しても変わらないE判定に、少しづつあせり始めていた。
「真中さん?」
隣にいるこずえちゃんが心配そうに俺のことを見ている。
「あっ! いや、何でもないよ」
慌てて俺はその紙を隠した。
「あの……この前薦めてもらった映画とてもおもしろくて、他にも何かあったら教えて
もらえませんか?」
「映画? う〜ん。そうだなあ。でも、ビデオで見るよりも実際に一度映画館で見てみな
よ。あの迫力、一度みたら病みつきになるよ」
「でも……映画館ってちょっと暗いし、なんだか怖くて……」
下を向きながら彼女は呟く。少し肩が震えていた。
「じゃあ、俺のバイト先に来ない? 俺、実は映画館でバイトしてるんだ」
「えっ! いいんですか?」
「映画館は古いけど、おもしろい映画がたくさんあるから! 絶対気に入ると思うよ」
「じゃあ……お願いします」

塾が終わり、俺とこずえちゃんはバイト先にやってきた。
最近は学校帰りは塾に行くので、平日に来るのは久しぶりだった。
「なんじゃ? 今日はバイトじゃったか?」
「今日はバイトじゃなくて映画を見に来たんですけど……」
「その娘は……」
館長を見て驚いたのか、こずえちゃんは俺の後ろにかくれている。
「ああ…同じ塾の。大丈夫だよ。別に悪い人じゃないから」
「なんじゃ。その言い方は」
少し不満そうな顔をしながらも館長はこずえちゃんが気に入ったのか、無料で映画を見せてくれた。
「ここなら客も少ないし、怖くないだろ? でも、やってる映画はそこらの映画館よりも
おもしろいよ」
こずえちゃんは緊張しているのか、ここに来てからはほとんど喋っていなかった。
何も言わずに俺の隣に座って映画を見ていた。


64 名前:◆3Kn3xqDy2w 投稿日:04/05/10 17:56 ID:Lq2t6cut
「真中さん! 真中さん!」
「う……ん……」
「あの……もう映画終わりましたよ」
いつの間にか俺は眠っていた。そういえば昨日も遅くまで勉強してたからな。
「ご、ゴメン。じゃあ、そろそろ帰ろうか?」
俺が立ち上がろうとした時にこずえちゃんが俺の服の裾を掴んだ。
「あの……今日、真中さんの誕生日ですよね? それで…これあたしからです」
そう言って彼女は小さな包みを俺に渡した。
「な、何で俺の誕生日知ってるの?」
「そ、それは秘密です……」
顔を赤くして俯いた彼女に心が揺らいだ。
「……開けてもいい?」
無言で頷く。
中には一枚のDVD。しかも、俺が欲しかったものだった。
「この前真中さんに教えてもらったので、お返しです。あたしのお気に入りDVDなので……」
彼女が言い終わるよりも先に体が反応した。
「ま、真中さん?」
柔らかい彼女の体を俺は抱きしめていた。なぜだろう。よくわからない。
初めは震えていた彼女も、やがてゆっくりと俺の背中に手を回してきた。
きっと勉強に疲れて、誰かのぬくもりがほしかったのかもしれない。


65 名前:◆3Kn3xqDy2w 投稿日:04/05/10 17:56 ID:Lq2t6cut
バタン!

映画館のドアが突然開いた。
「淳平くん? 今日バイト来てるの?」
西野の声にも、俺は気づかなかった。
後ろで何かが地面に落ちる音がして、俺は振り返った。
「に……西野……」
俺と目が合うと同時に、西野は走り去っていった。
「ま、待って!」
すぐに俺は後を追いかけた。
いつもと違う、その目には悲しみの色が見えていた。
映画館を出たところで西野は立っていた。
「西野……あの…ゴメン……」
「……」
無口な西野。俺はいつものように、怒っているものだとばかり思っていた。
「彼女は、同じ塾で……その…別に何でもないんだ…」
「淳平くんは、何でもない娘を抱きしめるの?」
「いや……それは……その……」
「淳平くんは、塾で夢に向かって頑張ってるんだって、そう思ってたのに……」
「西野……」
「だから……会えなくても……」
雨が少しづつ降り始めた。俺達二人を包むように。
「ゴメンね。変なこと言って……じゃあ、あたしまだバイトがあるから……」
そういって西野は笑った。どこか無理をしているその表情には見覚えがあった。
かすかに西野の頬をつたったのは、雨だろうか? それとも……涙だろうか……


66 名前:◆3Kn3xqDy2w 投稿日:04/05/10 17:57 ID:Lq2t6cut
土曜日になった。あれから西野にはあっていない。
バイトも休んでいるのか、いっても会えなかった。
電話にも出てくれない。
部屋の机には空になったケーキの箱が置かれている。
あの日、西野が落としていった。きっと、俺への誕生日プレゼント。
バイトの時間になり、俺は映画館へと向かう。
途中通り過ぎるときに西野のバイト先を見ても、西野の姿は見えなかった。
西野。約束忘れちゃったのかな……。
(来週の土曜日、流星群が日本で見れるんだって)
(ねえ淳平くん? よかったら来週一緒に見に行かない?)
やっぱりあの時、西野は泣いていたんだろうか……
そんなことをずっと考えていた。
夕方になり、バイトが終わって西野のケーキ屋へと入っていった。
しかし、西野は休みだった。
公衆電話で西野の携帯へと掛ける。
「お掛けになった電話は、電波の届かない場所にあるか……」
何度も繰り返される機会音。同じメッセージ。
意を決した俺は、西野の家へと走っていった。
緊張と共に、インターフォンを押す。
だけど、やっぱり西野はいなくて。
西野のお母さんが言うには、ちゃんとバイトにでかけたって。
西野……どこいったんだろう……


67 名前:◆3Kn3xqDy2w 投稿日:04/05/10 17:58 ID:Lq2t6cut

空を見上げると、曇り空。こんなんじゃ、星、見れないかも。
俺は諦めて家へと帰っていった。
家に着く頃には、雨も降り出していた。
いつものように夕食を食べたあと、自分の部屋で勉強をしていた。
だけど、やっぱり西野のことが頭から離れなかった。
不意にテレビのスイッチを押す。
「今日は、数百年に一度の流星群が……」
ニュースから聞こえる。どうやら泉坂の丘から中継してるようだ。
「天気が悪いようです。見れる確率は大分低いかもしれませんね」
この雨じゃ、当然だよな。そういって窓から外を見た。
降りしきる雨は止むことなく降り注ぐ。儚い願いを打ち砕くように。
テレビを消してカーテンを閉めると、電話が鳴り響いた。

「はい! もしもし」
「……」
「もしもし?」
いたずら電話だと思って電話を切ろうとした。
その時
「こちら、泉坂ではこの雨の中たくさんの人たちが……」
受話器越しに、さっきのテレビのリポーターの声が聞こえる。
テレビは消えている。
俺はハッとした。
「西野?」
俺が言うよりも早く、電話は切れた。
まさか、この雨の中……
外には雨が降り注ぐ。星が見れる確率は限りなく低い。
それでも俺は走り出した。傘もささずに。
あの約束の丘へと向かって。


68 名前:◆3Kn3xqDy2w 投稿日:04/05/10 17:58 ID:Lq2t6cut
丘の上にはたくさんの人たちが星を待っていた。
俺は必死に西野の姿を探す。
だけど、西野の姿は見つからなくて。
星の予告の時間まであとわずか。
段々と雨の勢いは弱まってきて、周りの人たちは期待に胸を膨らませていた。
双眼鏡をもってたたずむたくさんの人たちの中に、夢中で西野を探していた。
やっぱり……来てないのかも……
俺が諦めかけたとき、周りが一斉に声をあげた。
「うわあ……」
過ぎ去った雨雲を割って、無数の流星群が空を駆けた。
辺り一面に静寂が流れ、だれもが見入った。
俺は、その星に願いを込めた。
(この星を、どこかで西野もみていますように……)
ほんの僅かな時間の小さな願い。
その願いは、届いただろうか。
目を開けると、みんな帰り始めた。
もう一度空を見あげると、過ぎ去った流星群を惜しむように星が輝いていた。
「帰ろうかな……」
そういって俺は帰ろうとした。


69 名前:◆3Kn3xqDy2w 投稿日:04/05/10 17:59 ID:Lq2t6cut
その時
「何を願ったの?」
びっくりして俺が振り返ると、西野が立っていた。
さっきの雨で、その服はすこし濡れていた。
「に、西野! いつからそこに……」
「う〜ん。ちょうど流星群が流れた辺りからかな」
「だったら声かけてよ」
「もしかしてあたしの事探してた?」
「当たり前だろ? だって約束したじゃん」
さっきの願い事は、いともたやすく叶えられた。
「で、さっき何願ったの?」
問い詰めるような西野。だけど、その顔は笑っている。
「な、内緒だよ」
「こら〜。ちゃんと言いなさい」
俺を見つめる西野の目にはいつも吸い込まれそうになる。
「え、え〜っと。明日晴れたらいいなって……」
そういって俺は走り出した。
「こら〜。ホントのこと言え〜」
追いかけるように西野も走り出す。
誰もいなくなった丘の上で、俺達だけが笑いあう。
いつまでも、この時間が続けばいいと思った。
俺は静かに立ち止まって振り返る。
「西野も、どこかでこの星を見てますようにって」
言った途端に西野の顔は赤くなる、同時に俺も。
「ありがとう……」
ゆっくりと西野は俺の手を握ってきた。
「少し遅れたけど、誕生日プレゼント……」
「えっ!?」
そう言って西野は俺の頬に優しいキスをした。


どこまでも続く星空は、静かに俺達を照らし出す。
少し雨に濡れた西野の細い体を、優しく抱きしめていた。


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