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西野つかさを応援するスレ Part86

1 名前:名無しさんの次レスにご期待下さい 投稿日:04/03/23 14:07 ID:yrDK9agC
いちご100%の西野つかさを応援するスレです。
つかさファンが集う場所です。
東城・北大路ファンは控えめに。
東城・北大路叩きも控えめに。
他派を刺激する内容はスレ内完結で。
このスレでのいちご100%のヒロインは、どんなことがあろうと西野つかさです。
煽り・荒らし・その他、マターリマターリを壊す輩は「完全放置」で。
雑談はOK。なりきりは禁止。

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西野つかさを応援するスレ Part85
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yuukiss神の曲
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976 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:11 ID:fu8X1gIO
 生きていれば、いつかは必ず訪れる死……考えるだけでも怖くなる。
何年か前に世界が滅ぶとかいう、とんでもない予言があった。
その予言を知ったときは怖くて眠れなかった。初めて真剣に死について考えた。
別にその予言を信じていたわけじゃない。馬鹿馬鹿しいとさえ思っていた。
だけどもし、そんな理不尽な不幸が本当に降りかかってきたとしたら……あたしはそれでもいいと思った。
受け入れるしかないなら、受け入れてやる。でも、ただ単に死ぬだけなら嫌だ。
好きな人と一緒に……だったら受け入れられる。欲を言えば、死ぬ前に好きな人からいっぱいいっぱい愛されてから死にたい。
 だからあの時は予言が当たらなくてほっとした。あの時は心から愛されたいと思う人がいなかったから。
だけど今は違う。唐突な展開で、変えようのない不幸が起きても、別に構わない。
あたしの傍に淳平くんさえいてくれたら……あたしは死なんて恐れない。

 ふと横を見ると、淳平くんは窓の向こうをぼんやりと眺めていた。
あたしと淳平くんは遊園地へ向かうバスに乗った。
今日は二人きりのデートだった。前に唯ちゃん達とWデートした時は二人きりの時間があまりなかった。
だから淳平くんの方から誘ってくれた時、あたしは本当に嬉しかった。
恥ずかしいから淳平くんには黙ってるけど、淳平くんに貰ったいちごパンツも履いてきた。
別にやましいことを考えてるわけじゃない。でも下着を選ぶ時、自然と手に取った。
淳平くんはあまり言及してくれないけど、ペンダントだっていつもちゃんと付けてる。
そうすることで、あたしの気持ちを少しでも表現できるから。
 バスはあたし達を乗せて延々と走り続けている。窓にはザァザァと雨が打ち付けられている。
「天気……良くないね」
 あたしは小声で淳平くんに話し掛けた。
左手に頬をつきながら外を眺めている淳平くんは「あぁ」と振り向かずに答えた。

977 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:14 ID:fu8X1gIO
「ねぇ淳平くん。覚えてる?」
 淳平くんはゆっくりと振り向いた。
「何を?」
「ほら、前に火事で閉じ込められた時があったよね」
「ああ……西野の誕生日会の時の?」
「そう。それでね、その時に世界が滅びるって話をしたの覚えてる?」
「あの胡散臭い予言の話だよな。うん、覚えてる」
「あたしね、今でも同じこと思ってるよ」
「西野……こんな時にそういう話はやめようよ」
「こんな時だから話してるんだよ」
 淳平くんは黙り込んでしまった。また視線は窓の向こうへと注がれている。あたしは構わずに話を続けた。
「でも……やっぱり心残りかな」
 淳平くんが再び振り向いた。
「好きな人にもっと愛されたかった」
 左手に温もりを感じた。淳平くんの右手にしっかりと包み込まれていた。
あたしはもう、それ以上は何も言わなかった。ただ、残された今のこの時間を大事にしたかった。
 誘いを受けたのは昨日だった。ただで遊園地に行けるって言われたから、行きたいって即答した。館長さんの息子さんが新しく遊園地をオープンしたということだった。
 あたし達が乗ったバス停から遊園地の場所まで約一時間くらいかかる。九時のバスに乗り、予定では十時に着くはずだった。
携帯で確認すると既に十一時を過ぎていた。少しお腹も減ってきた。鞄の中には淳平くんに食べてもらうつもりだったサンドイッチが入っている。
だけど、それを取り出すことは不可能なことに思えた。
 淳平くんは相変わらず窓の外を見つめている。何を考えているのだろうか……思い詰めた表情で外の景色を眺めている。

978 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:17 ID:fu8X1gIO
 突然、体が前に倒れる格好になった。ブレーキがかかったらしい。
「西野、大丈夫?」
「うん。平気」
 そしてすぐに銃声が聞こえた。淳平くんとあたしは顔を見合わせた。
あたしは通路の方へ少し顔を出して、前方の状況を確認しようとした。
一人の男性がうつ伏せになって倒れている。その向こうには黒いスーツの男が立っていた。
黒いスーツの男……そう、あたし達のデートをめちゃくちゃにした張本人だ。
 男が発砲したのは三度目だった。最初は見せしめとして、罪のない老人が犠牲となった。
二度目は勇敢なサラリーマン風の男。隙を見て男から銃を奪おうとしたが返り打ちに遭った。
そして三度目。そこに倒れている男も、急ブレーキがかかった隙に飛びかかっていったのだろう。
 目の前で人が死ぬ。こんなに嫌なことはない。黒いスーツの男が死神のように思えた。男の目的は分からない。
バスに乗った直後、急に銃声が聞こえて、気付いたら今の状況になっていた。
バスは何処に向かっているのだろうか。少なくとも遊園地ではないことは確かだ。
生きて帰れる保証など、どこにもなかった。
むしろ絶望に近かった。男はハイジャックをした時、はっきりと宣言していた。
「おまえらは人質だ。安心しろ。後で天国に送ってやるからな」
 男の目的地に着いた時、きっとあたし達は皆殺しにされる。
こんな状況で、あたしが落ち着いていられるのは左手に感じる温もりのおかげだ。
淳平くんの右手があたしの左手をずっと握ってくれてるから、あたしは恐怖の中でも安心していた。
 でも、それも長くは続かなかった。

979 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:21 ID:fu8X1gIO
「おい、おまえ」
 顔を上げると、黒いスーツの男があたしのすぐ傍に立っていた。
あたし達が座っている周りには他に誰もいない。明らかに男の視線はあたしに向けられていた。
「何ですか?」
 あたしは恐る恐る聞いた。さすがに淳平くんもこっちを見て驚いている。
「おまえはこっちに来い。おっと、そっちの兄ちゃんは動くなよ」
 男は銃をちらつけながら言った。
「嫌です」
 あたしは迷うことなくはっきり言った。どっちにしろ、どうせろくなことにはならない。
「おや? いいのかな? おまえの彼氏……だとしたら、かなり不釣り合いだが、どうなるか知らんぞ?」
 逆らえないことは分かってる。淳平くんに被害だって加えられたくない。従うしかなかった。
「いや、待て。おまえは座ってろ。おい兄ちゃん、こっち来な」
「なっ……! 淳平くんは関係ないでしょ!」
「だまれ!」
 あたしの頬に銃口がつきつけられる。淳平くんがすぐに立ち上がって、あたしの頬から銃は離れた。
「俺は平気だから」
 あたしの前を通り越す時に淳平くんはそう言い残して席を離れた。
「残念ながら平気じゃないんだよ。おい運転手! こっちのドアを開けろ!」
 嫌な予感がした。走行中にも関わらず、すぐにドアが開いた。冷たい風が入ってくる。
「やめて!」
 あたしの精一杯の叫び声も虚しく、淳平くんの背中に向かって発砲された。
ドアの傍に立たされていた淳平くんはバスから転げ落ちていった。
助けなきゃ! そう思って、すぐに立ち上がってドアが開いている場所から飛び降りようと思った。
が、あたしが辿り着く前にドアは閉まってしまった。今度こそ絶望で胸がいっぱいになった。
「どうした? どこへ行くつもりだったんだ? 安心しろ。あの兄ちゃんは死んだよ」
 うそ……だ。そんなはず……ない……淳平くんが死……死ん……だ……なんて。
目の前が急にぼやけて見えた。そっか、あたし泣いてるのか……何で?
淳平くんは死んでなんかいないんだから、そんなはずないんだから、泣く必要なんかないのに。
でも何で涙が止まらないのかな……あ、そっか。夢なのかな、きっと。
そうだ。この後、あたしはベッドの上で目覚めて淳平くんとのデートに出掛けるんだ。
だから……早く夢なら覚めてよ。こんな夢は……いらない。

980 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:24 ID:fu8X1gIO
 突然、右の頬に痛みが走った。男に叩かれてあたしは現実だと知る。夢じゃ……ない。
「いつまでも泣いてんじゃねえよ」
 男は口元に微かに笑みを浮かべながら言った。こいつを殺したい、本気でそう思った。

 バスが走り始めて三時間が過ぎた。十二時をまわり、空腹感でお腹が何度か悲鳴を上げた。
あたしはバスの最後部に座っている。男と一緒に。あたしの全てを奪った男と一緒に。
他の乗客達は男が見張りやすいように前方の席に集められた。前半分ほどが乗客で埋まっている。
カップルや老人夫婦、家族連れの人達。みんな休日を楽しもうと思ってバスに乗り込んだんだろう。
こんなことになるって思った人なんているはずもない。
許さない。あたし達の幸せを……淳平くんを……奪ったこの男、絶対に許さない。
 もちろん淳平くんはまだ死んだとは決まってない。生きてる可能性だってある。そう信じたかった。
だけど、確かに淳平くんはあたしの目の前で……淳平くんがいなくなってしまったら、あたしが生きてる必要なんてない。
この男の傍にいるくらいなら、いっそのこと舌を噛み千切って死んでしまった方がマシだ。
でもそれは出来ない。あたしにはまだやらなければならないことがあった。
「おい、おまえ何ていう名前だ」
 男が聞いてきた。
「さあね」
 こんな男に誰が教えるものか、そう思いながら答えた。
「へぇ。なかなか気が強いんだな」
「痛い!」
 男に髪の毛を思いっきり掴まれた。目の前には銃が見える。
「さっきの兄ちゃんと同じ所へ行きたいか?」
「西……野……つかさ」
 あたしはまだ死ねない。絶対に死ねない。
「ほお、つかさちゃんか。ありがたく思え。おまえは俺の女にしてやるよ」
 男の笑みが憎らしかった。こいつの思い通りにさせてたまるか……あたしは覚悟を決めていた。

981 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:27 ID:fu8X1gIO
 チャンスがあるとしたら一度きりだろう。これが小説や映画だったなら一度は必ずチャンスがある。
そして主人公が見事に犯人を倒して解決するのだ。きっとそういうシナリオだろう。
 だけど現実は……とても難しいことのように思えた。
他の乗客達はしっかり見張られる位置にいるため、逆転のチャンスはないだろう。
おそらくこの状況で主人公になりきれるのは、男の隣に座っているあたしだけ。
でも、あたしと男では力に差がありすぎる。普通に抵抗したんじゃ結果は目に見えている。
あたしが逆転する方法はただ一つ。隙を見て銃を奪うしかない。そして淳平くんの仇を取るんだ。
 果たして上手くいくだろうか? 男に向かって銃を向けることに抵抗はない。
淳平くんがいなくなった今、あたしの存在理由もなくなった。
この男を殺したら、あたしも淳平くんのところへ行くつもりだ。
「もうすぐ着くぞ」
 男があたしに向かって言った。
「どこに?」
 男と会話をすることは非常に腹立たしいことではあったが、最低限の情報は必要だった。
「行けば分かるさ」
 そう言って、男は立ち上がって他の乗客達がいるバスの前方に進み始めた。
「さーて、すまなかったな。おまえらの休日をめちゃくちゃにしてしまって」
 あたしは「しまった」と思った。完全にチャンスを逃してしまったようだ。
「でも、もう安心しろ。おまえらはもうすぐ死ぬ」
 やっぱり……あたしは映画の主人公にはなりきれなかったようだ。

982 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:41 ID:fu8X1gIO
 あたしが諦めかけた瞬間にチャンスはあっけなくやってきた。
急ブレーキがかかり、男はよろめいて銃を落としてしまった。
そして床の上をスーッと滑って銃があたしの届く範囲内にやってきた。
男よりもいち早く駆け寄ってあたしは銃を手に取って男に銃口を向けた。
「おやおや、残念だったな」
 甘かった……男はあたしに向かって銃を向けている。男は銃を二つ持っていたのだ。
「その銃をこっちに渡せ」
「嫌! あたしは絶対にアンタを許さない!」
「ふう……困ったお嬢さんだ。おまえだけは助けてやろうと思ったんだが」
 こんな男に連れて行かれてたまるか。絶対に淳平くんの仇を取るって決めたんだ。
 あたし達はお互いに銃を向け合う体勢となった。乗客達の視線はあたし達の方へと注がれていた。
あたしが勝てば皆の命は助かる。この状況を前にして、少し荷が重いな、と思った。
おそらく男はあたしが引き金を引こうとしたら、あたしを撃つだろう。
男があたしを撃つのが早いか、あたしが男を撃つのが早いか。でも考えてる暇なんてない。
あたしの命なんて惜しくない。淳平くんのいない世界なら……そうだ。こいつは淳平くんの命を奪った。あたしの大切な人を奪った。
 もう迷うことなんてなかった。あたしは引き金を引いた……同時に、胸に痛みが走った。

983 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:45 ID:fu8X1gIO
 淳平くんがこっちに走ってくる。鉄棒につかまって淳平くんは懸垂を始めた。何だろう……夢、見てるのかな?
 二階から飛び降りた淳平くんは池に突入した。まだ寒い時期なのに……あれ?
あたし、どうなったんだろう……? もしかして走馬灯ってやつかな……?
 淳平くんの歌声が聴こえる。あぁそっか、初めてのデートでカラオケに行ったんだっけ?
最後にもう一度、淳平くんの歌が聴きたかったな。
 握手……か。あの時、素直にキスをお願いしたら良かった。
あたしのファーストキス……結局、淳平くんにあげられないままだったな。
 だから今度こそ……何度も後悔したあの言葉……今は、大切な思い出、かな。
 ごめんね、淳平くん。あたしのせいで皆から殴られて……痛かったよね? でも嬉しかったよ。
 淳平くんとバイト先が近いって分かった時、運命だって思った。本当だよ?
 あ……れ? 頭がボーッとしてきた。意識が遠のいてく感じ?
何? 走馬灯はもう終わり? 待ってよ。まだ途中でしょ?
最後くらい、淳平くんとの思い出を振り返らせてよ……お願いだから。
 周りで誰かが騒いでる……何を言ってるのかは分からないけど。他の乗客達かな?
皆は無事に助かるんだね。良かった。本当に良かった。幸せに……なって……ね。
 眠……い。あたし……やっぱり……死ぬのかな。でも淳平くん……仇は……取ったよ。
もうすぐ……あたしもそっち……に行くから……待っててね。おやすみ……淳平……くん。

 光? 眩しい。ここは……天国? ううん、違う。この感じは……ベッドに寝かされてる感じ?
どこだろう。何? 誰かがあたしを呼ぶ声がする。誰?
「……の! しっかりしろ! 西野!」
 少しずつ、意識が戻ってくるのを感じた。あたしは助かったのだろうか。
 目を開くと、あたしの瞳には誰よりも大切な人の姿が映っていた。
必死にあたしの名前を呼びながら……何度も何度も。

984 名前:◆I2KIoo8IC. 投稿日:04/04/01 00:52 ID:fu8X1gIO
これで終わりっす
のんびりと書いたんだけど微妙な感じ
はっきり言って駄文だね
なんかさ、最後に助かったのはペンダントのおかげとか何とか
しっかりペンダントを付けてたおかげで、弾がそこに命中して重傷を逃れたそうな
はんぱなく奇跡だね
うわさによると最後は幽霊になったとか違うとか
そんなことはないけどね
ねこ大好き

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続き

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